【11/21】欧州トレーダーYの最新マーケット分析

本レポートでは ドル円（USD/JPY） と ビットコイン（BTC/USD） を中心に取り上げます。為替と暗号資産という異なるマーケットを同時に追うことで、資金の流れや投資家心理を多面的に把握し、来週に向けた展望を考えるためのヒントをチャートとファンダメンタルズの両面から整理していきます！

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USD/JPY　ドル円相場

USD/JPY (ドル円相場) – 週足 –

チャート分析

ドル円は週足ベースで上昇トレンドを継続しつつ、長期の下降トレンドラインを上抜け、現在は157円台半ば〜後半で推移している。

158円台前半〜160円近辺には昨年高値と重なるレジスタンス帯が控えており、ブレイク後の追随買いが入りやすい一方で、利食いと戻り売りも出やすい価格帯となっている。

下値は、ブレイクポイントとなった154〜155円ゾーンが最初のサポート候補で、その下では151〜152円帯と147〜148円台のサポートが意識される。

いずれかを割り込むかどうかが、中期上昇トレンドの勢いが維持されるか否かの分岐となりそうだ。

USD/JPY (ドル円相場) – 4h –

チャート分析

ドル円は154.5〜155.5円レンジでのもみ合いを上抜け、その後は155円後半〜157円台へ一気に水準を切り上げた。

足もとでは157円台前半での高値圏推移となっており、短期的には急騰後の利益確定と押し目買いが交錯する局面に入っている。

4時間足では、これまで上値を抑えてきた154.6〜154.8円の水平レジスタンスと、上位足から続く下降トレンドラインを同時にブレイクしたことで、トレンド加速が確認された。

その上の155.6〜155.8円には直近高値が集中していたが、ここも難なく突破しており、短期的な上値ターゲットは158円方向へシフトしつつある。

一方で、上昇の起点となった154.6〜154.8円ゾーンはレジサポ転換帯としての重要度が増している。

直近の押し目もこのゾーン上で切り返しており、同水準を維持できる限りは、高値圏ながらも「上昇トレンド優勢」という見方が引き続き優位だ。

ただし、155円台後半から157円台にかけては、日足・週足ベースの戻り高値帯と重なるため、上ヒゲを伴う失速が目立ち始めるようであれば、短期的な天井打ちと、それに続く調整入りへの警戒も必要となる。

上値の焦点

157.5〜158.0円：直近の上昇波動の延長線上にある心理的節目。ここを明確に上抜けて定着できれば、158円台後半〜160円方向への一段高シナリオが浮上。

156.5〜157.0円：足もとの高値圏レンジ上限候補。上抜けが続く間は押し目買い優勢だが、上ヒゲが増えるようなら短期的な達成感を示唆。

155.6〜155.8円：直近戻り高値帯。急騰後の最初の戻り売りゾーンであり、押し目形成時にレジサポ転換が成立するかが焦点。

下値の焦点

154.6〜154.8円：下降トレンドラインと重なっていたブレイクポイント。ここを維持できれば上昇トレンド継続シナリオがメインだが、明確に割り込むと調整局面入りが意識される。

153.5〜153.8円：一段下のサポート帯。割り込みで上昇モメンタムの鈍化が鮮明となり、152円台後半までの押し目余地が拡大。

151.0〜151.5円：中期的な押し目候補ゾーン。ここまでの調整で踏みとどまれれば、中期的な上昇シナリオは辛うじて温存されるが、割り込む場合は147円台方向までの反落リスクが意識される。

ファンダメンタルズ

本稿執筆時点（11月21日（金））のドル円は157円台で推移。

FRBは9月・10月と2会合連続で利下げを行い、FF金利は3.75〜4.00％レンジへ低下した一方、日銀は1月の利上げ後も0.5％で据え置いており、依然として大きな日米金利差が円安バイアスとして働いている。

10月28〜29日のFOMCは、インフレ鈍化を確認しつつもCPI・PCEがなお3％前後と目標超にあることから、今回の利下げを「予防的」と位置付けた。

12月9〜10日の次回会合で追加利下げに踏み切るかを巡り、委員内の見解は依然として割れている。

加えて、10月からの連邦政府閉鎖で10月雇用統計などが欠落しており、FOMCは限られたデータで判断せざるを得ない。

一方、米10年債利回りは4.1％前後と高止まりしており、名目・実質金利ともドルを下支えしている。

日本では1月のマイナス金利解除と0.5％への利上げ後も、コアCPIが10月時点で前年比3.0％と目標超の状態が続いている。

新政権の積極財政と賃上げを背景に、12月18〜19日会合で0.75％への追加利上げに踏み切るかが焦点だ。

一方で景気には減速感もあり、政府内や一部エコノミストは利上げの先送りを主張している。

円安を巡っては財務相が過度な変動に再三けん制を発しており、160円接近時には実弾介入観測が急速に高まりやすい。

総じてドル円は「米：緩やかな利下げと高めの長期金利」対「日：インフレ高止まりと利上げ観測」という構図のもとで上昇トレンドを維持しつつ、FOMCと日銀会合に向けた思惑と当局発言に振られるボラティリティの高い地合いが続きそうだ。

来週以降の注目イベント

11月25日（火）　米消費者信頼感指数（11月）、S&Pケース・シラー住宅価格指数（9月）

11月26日（水）　米GDP改定値（7–9月期）、耐久財受注（10月）、個人所得・個人消費支出／PCEデフレーター（10月）

11月27日（木）　日本完全失業率（10月）、鉱工業生産（10月・速報）

12月9〜10日（火〜水）　FOMC（米連邦公開市場委員会）金融政策発表

12月18〜19日（木〜金）　日銀金融政策決定会合

BTC/USD　ビットコイン相場

BTC/USD (ビットコイン相場) – 週足 –

チャート分析

週足では、史上最高値圏となった120K台後半からの反落が鮮明で、今週は90K割れ水準への急落局面が続いている。

足もとでは86K台半ばで推移しており、心理的節目である90Kと、上昇チャネル下限を同時に割り込んだ後の戻り待ちの状態だ。

これまでサポートとして機能していた96〜100Kゾーンや、102〜108Kの厚い供給帯を一気に下抜けており、中期トレンドは「高値圏からの調整フェーズ」への移行が意識される。

上値はまず90K〜93Kが直近の戻り売りゾーンとなり、その上には96〜100Kのレジスタンス帯、さらに104〜108Kの分厚い供給ゾーンが控える。これらを段階的に回復しない限り、戻りはあくまでベア・リバウンドの域を出にくい。

下値では、85K近辺に位置する中期上昇トレンドラインと、80K台前半の水平サポートが第一の防衛ラインとなる。ここを割り込むと、次の節目は76〜72Kの長期トレンド支持帯で、到達時には一段と大きなロング整理が意識される。

週足ベースでは長期上昇トレンド自体はかろうじて温存されているものの、チャネル下限割れリスクが高まっており、90K台を早期に回復して高値圏レンジへ復帰できるか、それとも85K割れから長期サポート帯を試す展開に移行するかが、今後数週間の焦点となる。

BTC/USD (ビットコイン相場) – 4h-

チャート分析

今週のBTC/USDは、先週の戻り高値となった93K台半ばで失速した後に下落が加速し、現在は86K台半ばまで水準を切り下げている。

10月後半から意識されてきた99〜100Kのレジサポ転換帯と、その上の104K近辺の水平ラインを立て続けに下抜けており、4時間足では明確な戻り売り優勢の下降トレンドが進行中だ。

足もとでは、86K近辺の短期サポートと、84〜85K台を通過する中期上昇トレンドラインの手前でいったん下げ止まりつつあるものの、戻り局面ではまず92〜93Kの戻り売り圧力が意識される。

92〜93Kは、100K割れ後の最初の戻り高値としてレジスタンス化しており、このゾーンを実体ベースで上抜けられない限り、「下落トレンド内の一時的な戻り」にとどまりやすい。

一方で、86Kを明確に割り込んで84〜85Kのトレンドサポートまで下押しした場合、同水準での買い支えが機能しなければ、調整余地が80K台前半まで拡大するシナリオも視野に入る。

現状では、ショート主導のフローが続くなか、86K近辺での自律反発を挟んでも、戻り局面ではレジスタンス帯から売り直されやすい相場つきと言える。

上値の焦点

92.0〜93.5K：直近の戻り高値帯。ここを上抜け・定着できれば、ショートカバーを伴って97〜99K方向への戻り試しが意識される。

97.0〜99.5K：レジサポ転換帯。100Kラインと重なる供給ゾーンで、戻り売りが厚くなりやすい。

103.5〜104.5K：直近のサポート崩れポイント。終値ベースで回復できれば、4時間足の下降トレンド一服シグナルとなり得る。

下値の焦点

86.5〜85.5K：足もとのサポート帯。維持できれば一旦のスナップバックが入りやすいゾーン。

85.0〜84.0K：中期上昇トレンドラインが通過する水準。割り込みで「トレンド崩れ」を意識した売りが加速しやすい。

83.0〜81.0K：下落拡大時の次の節目。80K台前半で下げ渋れば、長期上昇トレンドの押し目候補となる。

ファンダメンタルズ

BTCは10月初旬の約12.6万ドルから急落し、足もとでは8万ドル台後半まで水準を切り下げた。

暗号資産全体で時価総額が約1兆ドル失われ、大型ロスカットと先物建玉の縮小を伴うレバレッジ解消相場が続いている。

マクロ面では、先月FOMCがFF3.75〜4.00％への0.25％利下げと12月1日のQT停止を決定したものの、12月追加利下げは「前提ではない」とされ、市場の緩和期待は後退した。

インフレはPCEベースでおおむね3％近辺と目標を上回る一方、政府閉鎖の影響で主要統計の公表が遅れており、不完全なデータの中で長期金利高止まり観測が残存、リスク資産全般の重石となっている。

こうした環境下で、スポットBTC ETFからは10月末以降に累計数十億ドル規模の資金流出が発生し、iShares Bitcoin Trust（IBIT）では過去最大となる1日5億ドル超の解約が観測されるなど、機関マネーのリスクオフ姿勢が鮮明だ。

もっとも、直近では一部の日でネット流入が戻るなど、急落後の水準訂正を受けた押し目買いも徐々に台頭している。

中期的には、2024年半減後の供給制約やスポットETF・上場企業による保有拡大といった構造要因は維持されており、今回の下落を「過熱感のリセット」とみる向きも多い。

しかし、12月FOMCでの追加利下げの有無を巡りFRB内外で見方が割れるなか、今後もマクロ指標と政策スタンス次第でETFフローとボラティリティが大きく振れやすく、当面は戻り局面で上値を叩かれやすい神経質な相場が続きやすい。

VIX　恐怖指数

VIX (恐怖指数相場) – 日足 –

値が高い → 投資家がリスクを強く警戒している状態。

値が低い → 市場が安定、投資家が安心している状態。

※チャート上に目安のラインを引いてあります。

VIX指数は、やや不安定圏で推移。

US10Y　米10年債利回り相場

US10Y ( 米10年債利回り相場) – 日足 –

通常、米国10年債利回りはドル相場と連動しやすく、ドル円の方向感を占ううえで重要な指標となっている。

日足では、昨年高値からの下降トレンドラインと、4月安値を起点とする上昇トレンドラインに挟まれた大型の三角持ち合いが継続。

足もとでは4.10％前後での推移が続き、上下いずれかへのブレイク待ちの様相が強い。

直近は、4.0〜4.05％のレジサポ転換帯を下値としつつ、短期上昇トレンドライン上で下値を切り上げる動きが優勢。

同水準を維持できれば、4.12〜4.15％や、約4.18〜4.20％に位置する下降トレンドライン上限方向への戻り試しが意識される。

一方で、4.0％を明確に割り込む場合は、3.90〜3.85％近辺までの調整余地が再び視野に入る。

ベースシナリオとしては4.0〜4.2％レンジ内での推移が続きやすく、インフレ指標やFOMC関連ヘッドラインをきっかけとした三角持ち合いのどちら向きのブレイクとなるかが、今後のドル金利・ドル円のトレンドを左右しそうだ。

まとめ

USD/JPY ドル円
ドル円は長期下降トレンドラインを上抜け、157円台半ばで高値圏推移。158〜160円のレジスタンス帯突破なら一段高余地が広がる一方、介入警戒で上値は重くなりやすい。下値はブレイクポイントの154〜155円と151〜152円が中期サポート候補。

BTC/USD ビットコイン
ビットコインは12万ドル台から急落し、9万ドル割れの8.6万ドル近辺。96〜100Kや104〜108Kを次々と割り込み、中期的には戻り売り優勢の調整局面。上値は90〜93Kが戻り売りゾーン、下値は85Kと80K台前半が主な防衛ライン。

その他（VIX／金利）
米10年債利回りは4.0〜4.2％のレンジ内で推移し、4.0〜4.05％のサポートと4.18〜4.20％のレジスタンスに挟まれた三角持ち合いが継続。ブレイク方向がドル円トレンドのカギとなる。VIXはやや不安定圏ながら急騰には至っておらず、リスク資産全体は調整色を強めつつもパニック相場にはなっていない。

↓下にミニ用語辞典を用意しました！ご参考までに！！

それではまた来週！