本レポートでは ドル円(USD/JPY) と ビットコイン(BTC/USD) を中心に取り上げます。為替と暗号資産という異なるマーケットを同時に追うことで、資金の流れや投資家心理を多面的に把握し、来週に向けた展望を考えるためのヒントをチャートとファンダメンタルズの両面から整理していきます!

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USD/JPY ドル円相場
USD/JPY (ドル円 相場) – 週足 –

チャート分析
ドル円は週足上昇トレンドを維持しつつ、足もとは155円手前の高値圏で推移している。昨年高値から引いた長期の下降トレンドラインと、156〜158円の戻り売りゾーンが重なり、上ヒゲを残して押し戻された形だ。
下値は154円前後のブレイク水準と、152〜153円のレジサポ転換帯、その下の147円近辺を通る上昇トレンドラインが意識される。これらを維持できる限りは中期の上昇トレンド優勢だが、152円割れとなれば147円までの調整入りを警戒したい。
USD/JPY (ドル円 相場) – 4h –

チャート分析
ドル円は157円台後半の戻り高値を付けた後、4時間足では高値切り下げ基調に入り、足もとは155円手前での調整局面が続いている。155円近辺には、11月以降の戻り高値が集中したレジスタンス帯が位置しており、上抜けトライの度に売りが出やすい状態だ。
4時間足では、155.5〜156.0円にかけて短期の下降トレンドラインと水平レジスタンスが重なり、目先の戻り売りゾーンとして意識されている。一方で、154.5〜154.7円は直近のブレイク水準かつレジサポ転換帯となっており、このゾーンを挟んで上値試しと押し目買いが交錯している。
同水準を維持できる限りは「高値圏での調整レンジ」の色合いが強いが、154.5円を明確に割り込むと、153.8〜154.0円や153.0〜153.2円といった一段下のサポート帯までの押しが意識され、4時間足ベースのモメンタム鈍化が鮮明になりやすい。
全体としては、155円近辺を挟んだ高値圏レンジを形成しつつ、上では戻り売り、下では押し目買いが交錯している状況であり、155.5円超えで再度の上値トライに向かうのか、それとも154円台半ばを割り込んで調整を深めるのかが来週の焦点となる。
上値の焦点
155.3〜155.5円:直近の戻り高値帯。ここを実体ベースで上抜け・定着できれば、156円方向への一段高シナリオが意識される。
155.5〜156.0円:短期下降トレンドラインと重なるレジスタンスゾーン。戻り売りが出やすく、上抜けには一段の出来高とショートカバーが必要。
156.5〜157.0円:戻り高値圏。終値ベースでの回復が確認できれば、4時間足ベースでの調整一巡と、157円台後半の高値再トライを視野に入れたい。
下値の焦点
154.5〜154.7円:足もとのレジサポ転換帯。維持できれば高値圏レンジ下限として機能しやすい。
153.8〜154.0円:一段下のサポート候補。ここで下げ止まれば上昇トレンド内のスピード調整にとどまる。
153.0〜153.2円:直近の押し目安値帯。ブレイクした場合は152円台前半および週足のトレンドラインまでの調整余地が意識される。
ファンダメンタルズ
米国では、10月FOMCで0.25%の利下げが実施され、FF金利は3.75〜4.00%レンジへ引き下げられた。その後もインフレ指標はCPI・PCEとも前年比3%近辺と目標をやや上回る水準にあり、米10年債利回りも4%前後で高止まりしていることから、「緩やかな利下げサイクルのなかで高金利水準を維持する」というのが足もとの基本シナリオとなっている。
一方、長期化した政府閉鎖の影響で10月分の雇用統計やCPIが公表されず、データの空白が残るなかで、12月9〜10日のFOMCが2会合連続の利下げに踏み切るかどうかについては見方が分かれている。市場はもう一段の0.25%利下げをおおむね織り込みつつも、会合を前にした世論調査では追加利下げ支持が優勢である一方、インフレの粘着性や財政拡張を背景に、来年以降の連続利下げには慎重なスタンスが示されている。
ドル円にとっては、米金利がピークアウトしつつも依然として4%台の金利プレミアムを提供していることが下支えとなる一方、FOMCのハト派サプライズが出れば金利差縮小を通じてドル安・円高方向への調整圧力が強まりやすい構図だ。
日本側では、日銀がマイナス金利解除後も0.5%の政策金利と大規模緩和を維持してきたが、10年国債利回りは1.9%台と2007年以来の水準まで上昇している。足もとの賃上げモメンタムとインフレ率2%台の定着を受け、今月18〜19日の金融政策決定会合で0.75%への利上げを検討しているとの観測が強まっており、政府・日銀の対話も「緩和から中立方向への正常化」を前提にしたものへとトーンが変化しつつある。
もっとも、7〜9月期GDPがマイナス成長となったうえ、10月家計調査では実質消費が大きく落ち込むなど、内需の足取りには弱さが残る。新政権による大型財政出動と、過度な円安に対する警戒感のバランスをどう取るかが、日銀のタカ派シフトのスピードを左右しそうだ。
現状のドル円は、4%台の米金利と日銀の正常化期待という相反する要因の綱引きのなかで155円近辺に高止まりしており、12月のFOMCと日銀会合の結果次第では、金利差と政策スタンスの組み合わせを材料にボラティリティが高まりやすい局面に入っている。
来週以降の注目イベント
12月9〜10日(火・水) FOMC(政策金利・経済見通し・パウエル議長会見)
12月18日(木) 米CPI(11月、BLS統計)──政府閉鎖の影響で遅延していたインフレ指標の本格再開。
12月18〜19日(木・金) 日銀金融政策決定会合──0.75%への利上げの有無と、その先のガイダンスが焦点。
BTC/USD ビットコイン相場
BTC/USD (ビットコイン 相場) – 週足 –

チャート分析
週足では、11月にかけて120K台前半の高値を付けた後、上昇ウェッジの下限を割り込み、直近数週は急角度の調整局面が続いている。今週も戻りは限定的で、足もとでは92K台前半での推移となっている。
一時は90Kを大きく割り込み、88K近辺に走る中期の上昇トレンドラインまで下押ししたが、同水準では買い戻しが入り、長い下ヒゲを伴う形で下げ渋った。もっとも、96〜100Kゾーンに位置していたレジスタンス転換帯を明確に回復できておらず、100Kの心理的節目が上値として意識されている。
上値はまず94〜96Kが直近の戻り売りゾーン、その上に99〜101K、さらに105〜108Kのレジスタンス帯が控える。これらを段階的に取り戻せない限り、中期的には「戻り売り優位」の下方向バイアスが続きやすい。
下値では、88〜90K近辺のトレンドサポートが第一防衛ラインとなり、割り込むと84〜85Kや80K台前半までの下押し余地が意識される。週足ベースでは長期上昇トレンド自体はなお維持されているものの、目先は90K前後のサポート帯を守りつつ、100Kの奪回に向けた底固め局面にあるといえる。
BTC/USD (ビットコイン 相場) – 4h-

チャート分析
今週のBTC/USDは、先週の急落で一時85K台前半まで下押しした後、90K台前半を中心に戻りを試す展開となっている。
足もとでは92K台前半で推移しており、92.5K近辺の水平レジスタンスと、85〜86Kを起点とした上昇トレンドラインに挟まれた高値圏レンジの様相が強まっている。
4時間足では、92〜93Kが直近の戻り高値帯として意識されており、ここを明確に上抜けられるかどうかが、短期リバウンド継続か再度の下押しかを分ける分岐点となる。
一方で、89〜90Kの押し目ゾーンを割り込むと、86〜87K近辺に位置する直近安値とトレンドラインまでの下値余地が意識され、再び急落局面入りとなるリスクが高まる。
中期的には依然として長期上昇トレンド内の調整局面と位置付けられるものの、短期モメンタムは鈍く、戻りでは上値での売り圧力が優勢な状態が続いている。
現状では「89〜90Kを維持しつつ92〜93Kを突破できるか」が焦点で、上抜ければ96〜100K方向へのリバウンド、割り込めば86〜87Kのトレンドサポート割れを警戒する局面となる。
上値の焦点
92.0〜93.0K:直近の戻り高値帯。上抜け・定着でショートカバーを伴う反発余地が広がる水準。
96.0〜97.5K:下落過程で揉み合いとなったゾーン。戻り売りが出やすいレジスタンス帯。
99.0〜101.0K:心理的節目100Kを含む供給帯。下落トレンド一巡を示す分岐水準。
103.0〜104.0K:大幅下落の起点となった価格帯。回復できれば週足レベルでの調整一服シグナル。
下値の焦点
89.0〜90.0K:足もとのサポート帯。維持できればレンジ下限として機能しやすい。
86.0〜87.0K:直近安値と上昇トレンド支持線が重なるゾーン。割り込みで中期調整が一段と加速しやすい。
84.0〜85.0K:次の押し目候補水準。到達時にはショートカバーが入りやすい水準。
80K台前半:心理的節目かつ長期上昇トレンド維持の最終防衛ライン。
ファンダメンタルズ
今週のBTCは、10月の史上最高値圏(12万ドル台)からの調整を引き継ぎ、9.2万ドル前後で下げ止まりを模索する展開。10月FOMCでの0.25%利下げと12月からのQT停止決定で金融環境は緩和方向だが、今月の追加利下げの行方が読みにくく、米金利とドル相場は方向感に乏しい。
11月は米株全般のリスクオフとともに、米国上場の現物型ビットコインETFから40億ドル超の資金流出が発生し、裁定取引の巻き戻しやレバレッジポジションの解消が進んだ。急落局面では約10億ドル規模のロング清算が出たとされ、デリバティブ市場のポジション縮小が現物価格のボラティリティを高めている。
もっともETF全体では、設定以来の累計純流入はなおプラス圏で、保有残高は発行済みビットコインの数%に相当する規模を維持。11月末以降は小幅ながら資金流入に転じており、中長期資金の押し目買い意欲も確認できる。
センチメント面では、恐怖・強欲指数が「極端な恐怖」まで低下した後、足もとでは徐々に改善しているが、依然「戻り売り優勢」のムードは根強い。FRBの12月会合で利下げペースと金利レンジが明確になれば、マクロ要因によるリスクオフが一巡し、ETFを軸とした構造的な需要が再評価される余地は残る。
VIX 恐怖指数
VIX (恐怖指数 相場) – 日足 –
値が高い → 投資家がリスクを強く警戒している状態。
値が低い → 市場が安定、投資家が安心している状態。
※チャート上に目安のラインを引いてあります。

VIX指数は、足もと15台後半で推移し、10〜20の安定レンジ内で落ち着いた動きとなっている。
US10Y 米10年債利回り相場
US10Y ( 米10年債利回り相場) – 日足 –

米10年債利回りはドル相場と連動しやすく、ドル円のトレンドを占う上で重要な指標となる。
足もとでは4.0〜4.1%台での攻防が続き、日足チャートでは4月安値からの上昇トレンドラインと昨年高値からの下降トレンドラインに挟まれた三角持ち合いが継続している。
今週は4.0%割れ寸前から切り返し、4.05〜4.10%のレジサポ転換帯を回復したものの、4.15%前後を通過する下降トレンドラインが上値を抑え、戻り売りと押し目買いが交錯する展開。
直近では4.0%近辺がサポートとして意識されており、維持できれば4.15%方向への再上昇余地を残す一方、割り込む場合は3.90%近辺までの調整を警戒したい。
上方向は4.15〜4.20%が戻りの上限帯。終値ベースで4.15%超えが定着すれば下降トレンドブレイクとなり、4.25%方向への金利上昇シナリオとドル高再開を意識しやすい。
ベースシナリオは4.0〜4.2%レンジ継続で、FOMCの利下げペースやインフレ指標次第でブレイク方向を探る展開となる。
まとめ

USD/JPY ドル円
ドル円は157円台後半から反落しつつも155円近辺で高止まりしており、長期の下降トレンドラインと155〜156円のレジスタンスが上値を抑える中、高値圏での調整レンジを形成している。
下値は4時間足ベースで154.5円、さらに153.8〜154.0円および153.0〜153.2円がサポート候補で、これらを維持できる限り中期の上昇トレンドは温存される。
BTC/USD ビットコイン
ビットコインは120K台からの急落後、90K台前半での戻り基調を模索しており、足もとは92K台で推移。
92〜93Kと96〜97Kが戻り売りゾーンとして意識される一方、89〜90Kと86〜87Kが押し目候補で、長期上昇トレンド内の調整局面が続いている。
その他(VIX/金利)
米10年債利回りは4.0〜4.1%台を中心に、4.0%のサポートと4.15〜4.20%のレジスタンスに挟まれたレンジ取引。
VIXは15台半ばと落ち着いた水準にあり、金利やドル円のイベント待ちのなか、リスク資産全体は警戒感を残しつつもパニックには至っていない。
↓下にミニ用語辞典を用意しました!ご参考までに!!
それではまた来週!
ミニ用語辞典
- FOMC:米国の中央銀行会合。政策金利(お金の値段)を決める場。
- CPI:消費者物価指数。物価の上がり下がり=インフレ度合いを示す指標。
- 米雇用統計(NFP):米国の働く人の増減などを発表。景気の“体温計”。
- 利下げ観測:市場が「金利を下げそう」と見込むこと。金利が下がるとドルは弱くなりやすい。
- 政策金利:中央銀行が決める基準金利。世の中の金利の“起点”。
- bp(ベーシスポイント):金利の最小単位。1bp=0.01%(25bp=0.25%)。
- 米債利回り:米国債の利回り。将来の金利見通しの“合成値”で、ドルの強弱に影響。
- 声明:FOMC後に出る公式文。景気やインフレへの見方が端的に書かれる。
- フォワードガイダンス:中央銀行が「今後はこう動くかも」と事前にヒントを出すこと。
- レートパス:これからの政策金利がどう推移しそうかという道筋。
- ETF(現物ETF):株のように売買できる投資信託。現物ETFは実物のビットコインを裏で保有。
- ETFフロー:ETFに入った/出たお金の流れ(流入=買い超、流出=売り超の目安)。
- デジタル資産ファンド:暗号資産に投資するファンド全般。週次の資金の出入りが参考材料。
- 流入/流出:資金が入る/出ること。価格の追い風/向かい風になりやすい。
- レンジ(保ち合い):価格が上下に挟まれて往復する状態。
- レジスタンス(抵抗帯):上がりにくい天井ゾーン。売りが出やすい価格帯。
- サポート(支持帯):下がりにくい床ゾーン。買いが出やすい価格帯。
- 押し目:上昇トレンド中の一時的な下げ。買い直しポイントになりやすい。
- 上目線/下目線:相場の基本想定。上目線=上がりやすい想定/下目線=下がりやすい想定。
- 逆張り:レンジの端(高値・安値)で反対方向に仕掛ける手法。
- ボラティリティ:価格の振れ幅の大きさ。大きいほど短時間で値が動く。
- VIX(恐怖指数):米株のボラティリティ期待を示す指数。高い=リスク回避、低い=安定しやすい。
- US10Y:米10年国債利回りの略称。
- モメンタム:上げ/下げの勢い。強いほどトレンド継続が意識されやすい。
- 流動性:売買が成立しやすい度合い。流動性狩り(ストップ狩り)=ストップ注文が溜まる価格帯を一時的に突く動き。

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