本レポートでは ドル円(USD/JPY) と ビットコイン(BTC/USD) を中心に取り上げます。為替と暗号資産という異なるマーケットを同時に追うことで、資金の流れや投資家心理を多面的に把握し、来週に向けた展望を考えるためのヒントをチャートとファンダメンタルズの両面から整理していきます!

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USD/JPY ドル円相場
USD/JPY (ドル円 相場) – 週足 –

チャート分析
ドル円は週足ベースで中期上昇トレンドを継続しつつ、現在は156円台前半で推移している。
長期の下降トレンドラインを上抜け、153円台からの急伸の延長戦で高値圏に乗せている。
上値は156.5〜158.0円の戻り売りゾーンと、160円近辺の過去高値帯が意識されやすい。
一方、下値は154円前後のレジサポ転換帯と151〜152円、さらに147〜148円台のサポートが中期トレンド維持の焦点となる。
USD/JPY (ドル円 相場) – 4h –

チャート分析
今週のドル円は、157円台後半からの急伸一服後、現在は156円台前半での持ち合いに移行している。
4時間足では、156.8〜157.5円のレジスタンスゾーンで上値を繰り返し抑えられており、直近高値更新の勢いはやや鈍化。
足もとでは、156.0〜156.3円近辺に短期のレンジ上限が形成されつつある。
一方で、155.2〜155.5円には、直近のレンジ上抜け起点かつ青い水平線で示されたレジサポ転換帯が位置しており、押し目買いの初期防衛ラインとなっている。
その下には、154.4〜154.7円のピンクの水平線と中期レンジ上限が控え、ここまでが高値圏調整のメイン支持帯とみられる。
これらのサポートを維持できる限り、構図としては「高値圏での上昇トレンド内調整」がメインシナリオ。
ただし、155.2〜155.5円を明確に割り込むと、154円台半ばまでの戻り試しが意識され、短期モメンタムは一段と鈍りやすい。
全体としては、上昇トレンドの延長線上で高値圏レンジを形成しており、156円台前半での値固めを経て再び157円台後半を試すのか、それとも155円台半ば〜154円台後半へと調整を深めるのかが、来週の焦点となる。
上値の焦点
156.8〜157.5円:直近高値帯かつレジスタンスゾーン。ここを実体ベースで上抜けて定着できれば、158円方向への一段高シナリオが強まる一方、上ヒゲを残して失速する場合は天井圏形成シグナルとなりやすい。
156.0〜156.3円:足もとのレンジ上限。ここを維持できる間は高値圏での強含み推移だが、上抜けに失敗すると短期の戻り売り圧力が強まりやすい。
下値の焦点
155.2〜155.5円:直近のレジサポ転換帯。ここで下げ止まれば、高値圏調整の範囲内で押し目買い優勢のシナリオが継続。
155.2〜155.5円:直近のレジサポ転換帯。ここで下げ止まれば、高値圏調整の範囲内で押し目買い優勢のシナリオが継続。
153.3〜153.6円:下位のサポートゾーン。ここまでの調整で踏みとどまれば中期上昇シナリオは維持されるが、ブレイクする場合は151円台後半までの一段安リスク拡大に要警戒。
ファンダメンタルズ
米国では、9月・10月と2会合連続で0.25ポイントの利下げが実施され、FF金利の誘導レンジは現在3.75〜4.00%。
バランスシート縮小も12月1日付で終了予定とされ、名目上は「緩和方向への転換」が鮮明になっている。
もっとも、インフレ率はPCEベースで前年比3%前後と目標をやや上回る水準が続き、クリーブランド連銀のナウキャストでも年末にかけて2.8〜3%近辺での推移が見込まれている。
長期金利も米10年債で4%前後と、低下はしているものの急激な金利緩和局面とは言い難い。
加えて、政府閉鎖の影響で10月分のCPIと雇用統計が欠測となり、インフレと雇用情勢の把握には依然として不確実性が残る。
FOMC内でも「早期の追加利下げ」を支持するハト派と、インフレ再燃リスクを警戒する慎重派が併存しており、12月9〜10日のFOMCで3会合連続の利下げとなるかは接戦模様だ。
一方、日本では7〜9月期実質GDPが前期比年率▲1.8%と6四半期ぶりのマイナス成長に転じる一方、東京CPIは総合・コアとも2.5〜3%近辺と、インフレ率は依然として日銀目標を上回っている。
サービス価格や賃金指標も高止まりしており、日銀内部からは「緩やかな追加利上げ」を容認する声が徐々に増えている。
もっとも、新政権による21兆円超の大型財政出動と、物価高に配慮した慎重な金融正常化方針が同時進行しており、12月18〜19日の次回日銀会合で直ちに利上げが実施されるかどうかは五分五分と見る向きが多い。
結果として、日米金利差はピークアウトしつつも依然としてドル優位の水準が維持されており、ドル円は高金利通貨としての買い需要を残しつつも、政策スタンスのわずかな変化に敏感に反応しやすい局面が続いている。
来週以降の注目イベント
12月1日(月) 米ISM製造業景況指数(11月)
12月2日(火) 米JOLTS求人件数(10月)
12月3日(水) 米ADP雇用報告(11月)、米ISM非製造業景況指数(11月)
12月8日(月) 日本GDP(二次速報、7–9月期)
12月9〜10日(火・水) FOMC(政策金利・声明・記者会見)
BTC/USD ビットコイン相場
BTC/USD (ビットコイン 相場) – 週足 –

チャート分析
週足では、12万ドル台での天井形成後に急落し、直近では9万ドル台前半での推移。
これまで支持線として機能してきた上昇チャネル中央線を明確に割り込み、下限トレンドライン付近まで一気に売り込まれたあとの自律反発局面にある。
足もとでは、9万〜9.2万ドル前後の水平ラインとチャネル下限が重なるゾーンでもみ合いとなっており、ここを維持できるかどうかが中長期トレンド維持の分岐点だ。
上値は、まず9.6万〜10万ドル近辺のレジサポ転換帯、その上に10.4万〜10.8万ドル、さらに11万ドル台前半の戻り売りゾーンが控えている。
これらを段階的に回復できない限り、週足ベースでは「戻り局面は売り優勢」の下方向バイアスが続きやすい。
一方で、9万ドルとチャネル下限を同時に割り込む場合、8.4万〜8.6万ドル近辺のトレンドサポートが次の押し目候補となり、割り込み時には7万ドル台後半までの下押し余地も意識される。
長期的にはなお上昇トレンドの延長線上にあるものの、現局面は「過熱相場の反動調整」がメインシナリオであり、9万ドル周辺での値固めに成功して初めて、中期上昇トレンド再開への土台が整うイメージとなる。
BTC/USD (ビットコイン 相場) – 4h-

チャート分析
今週のBTC/USDは、95K近辺からの下落が加速し、途中で90Kを割り込んで一時83〜84K台まで急落。
その後はショートカバー中心の自律反発となり、足もとでは90K前後での戻り試しが続いている。
4時間足では、安値は切り上げつつも戻り高値は切り下がる形で、短期トレンドは下向き。
現在は90〜92Kのレジスタンス帯と、88K前後の押し目候補に挟まれたレンジ形成局面となっている。
直近では92K近辺の青い水平線が戻り上限として意識されており、ここを明確に上抜けられるかどうかがリバウンド継続の分岐点。
一方、88Kを割り込むと85〜86K方向への再下落が意識されやすい。
中期的には83K近辺を通過する上昇トレンドラインが第一防衛ラインとなっており、同水準を維持できれば「長期上昇トレンド内の深めの調整」という構図は保たれる。
ただし83Kをも割り込む場合は、80K前後までの一段安シナリオが現実味を帯びる。
現状では「90K前後での戻り試し」がテーマで、92Kを突破して95〜97Kゾーンを回復できるか、それとも90K割れから83Kのトレンドサポート再テストに向かうかが、来週の焦点となる。
上値の焦点
92.0〜93.0K:足もとの戻り高値帯。上抜け・定着で95K方向への一段高シナリオが強まる。
95.0〜97.0K:直近のサポート崩れポイントかつレジサポ転換帯。戻り売りが出やすいゾーン。
99.0〜101.0K:心理的節目の100Kを含む重要レジスタンス。回復なら週足ベースの調整一巡観測が強まる。
107.0〜110.0K:上位足での供給帯。到達時には利確売りと戻り売りが集中しやすい。
下値の焦点
88.0〜86.0K:足もとのサポート帯。維持できれば90K台への反発継続がメインシナリオ。
83.0〜82.0K:上昇トレンドラインが通過するゾーン。中期上昇トレンド維持の重要水準。
80.0〜78.0K:下落拡大時の次の節目。割り込みで長期トレンド見直しとボラティリティ上昇に要警戒。
ファンダメンタルズ
11月のBTCは、10月の126K台から一時80K台前半まで急落し、月間で20〜30%台のドローダウン。
10月以降に積み上がっていたレバレッジロングの一斉清算と、リスクオフに伴う現物売りが重なり、「ポジション整理主導の下げ」が続いている。
フロー面では、米スポットBTC ETFから11月だけで35〜38億ドル規模の資金流出が発生し、ブラックロックのIBITでは単日5億ドル超の解約という過去最大のアウトフローを記録。
年初の上昇相場を牽引した機関マネーが逆回転しており、戻り局面でも新規資金の入りは鈍い。
マクロでは、FRBが10月会合で0.25%利下げを実施し、政策金利は3.75〜4.00%レンジへ。
12月FOMCでの追加利下げ観測も高まる一方、米長期金利は4%前後と依然「高止まり圏」にあり、リスク資産全体には追い風というより中立〜やや重石となっている。
結果としてBTCは、半減期後の供給減少という長期テーマを持ちながらも、足もとは「ETFからの資金流出+レバレッジ解消+金利高止まり」の三重苦でボラティリティが拡大した状態。
90K前後での値固めに成功し、ETFフローが安定的なプラスに転じてこない限り、中期的には戻り売り優勢の調整局面が続きやすい。
VIX 恐怖指数
VIX (恐怖指数 相場) – 日足 –
値が高い → 投資家がリスクを強く警戒している状態。
値が低い → 市場が安定、投資家が安心している状態。
※チャート上に目安のラインを引いてあります。

VIX指数は、直近の急騰後に低下し、現在は17台と概ね10〜20の安定レンジ内で推移している。
US10Y 米10年債利回り相場
US10Y ( 米10年債利回り相場) – 日足 –

通常、米国10年債利回りはドル相場と連動しやすく、ドル円の方向感を占う上で重要な指標となる。
日足では足もと4.0%前後での攻防が続き、春先の安値からの上昇トレンドラインと、直近高値起点の下降トレンドラインに挟まれた三角持ち合いの中で、レンジ下限側へじりじりと押し込まれている。
今週は4.05〜4.10%近辺から上値を切り下げ、現在は3.98〜4.02%ゾーンのサポート帯を試す展開。
ここを維持できれば4.10〜4.15%方向への戻りを試す余地を残す一方、明確に割り込むと3.90〜3.85%といった下方のサポートまで一段の調整が意識される。
上方向では4.12〜4.20%が戻りの上限帯で、この付近には下降トレンドラインも重なる。
終値ベースで4.20%超えが定着すれば、三角持ち合い上抜け=金利上昇トレンド再開のシグナルとなりやすい。
現時点のベースシナリオは3.9〜4.2%レンジ内でのもみ合い継続で、インフレ指標や利下げペースを巡る思惑次第でレンジブレイクの方向を探る局面が続く。
まとめ

USD/JPY ドル円
ドル円は156円台前半で高止まりし、長期の下降トレンドラインを上抜けたあと、高値圏での持ち合いに移行している。
4時間足では156.8〜157.5円が戻り売りゾーン、155.2〜155.5円と154円台半ばが押し目候補となっており、当面は155〜157円レンジ内での上昇トレンド内調整が続きやすい。
BTC/USD ビットコイン
ビットコインは12万ドル台からの急落後、9万ドル前後での戻り試しが続く。
週足では上昇チャネル下限に張り付いたまま戻り売り優勢で、上値は9.6〜10万ドルおよび10.4〜10.8万ドルがレジスタンス。
下値は9万ドルと8.4〜8.6万ドルのトレンドサポートが中期の分岐となる。
その他(VIX/金利)
米10年債利回りは4.0%前後で推移し、3.9〜4.2%のレンジ内で三角持ち合いを継続。
VIXは17ポイント台と10〜20の安定ゾーンに収まり、リスク資産全体は調整色を残しつつも、パニック的なリスクオフには至っていない。
↓下にミニ用語辞典を用意しました!ご参考までに!!
それではまた来週!
ミニ用語辞典
- FOMC:米国の中央銀行会合。政策金利(お金の値段)を決める場。
- CPI:消費者物価指数。物価の上がり下がり=インフレ度合いを示す指標。
- 米雇用統計(NFP):米国の働く人の増減などを発表。景気の“体温計”。
- 利下げ観測:市場が「金利を下げそう」と見込むこと。金利が下がるとドルは弱くなりやすい。
- 政策金利:中央銀行が決める基準金利。世の中の金利の“起点”。
- bp(ベーシスポイント):金利の最小単位。1bp=0.01%(25bp=0.25%)。
- 米債利回り:米国債の利回り。将来の金利見通しの“合成値”で、ドルの強弱に影響。
- 声明:FOMC後に出る公式文。景気やインフレへの見方が端的に書かれる。
- フォワードガイダンス:中央銀行が「今後はこう動くかも」と事前にヒントを出すこと。
- レートパス:これからの政策金利がどう推移しそうかという道筋。
- ETF(現物ETF):株のように売買できる投資信託。現物ETFは実物のビットコインを裏で保有。
- ETFフロー:ETFに入った/出たお金の流れ(流入=買い超、流出=売り超の目安)。
- デジタル資産ファンド:暗号資産に投資するファンド全般。週次の資金の出入りが参考材料。
- 流入/流出:資金が入る/出ること。価格の追い風/向かい風になりやすい。
- レンジ(保ち合い):価格が上下に挟まれて往復する状態。
- レジスタンス(抵抗帯):上がりにくい天井ゾーン。売りが出やすい価格帯。
- サポート(支持帯):下がりにくい床ゾーン。買いが出やすい価格帯。
- 押し目:上昇トレンド中の一時的な下げ。買い直しポイントになりやすい。
- 上目線/下目線:相場の基本想定。上目線=上がりやすい想定/下目線=下がりやすい想定。
- 逆張り:レンジの端(高値・安値)で反対方向に仕掛ける手法。
- ボラティリティ:価格の振れ幅の大きさ。大きいほど短時間で値が動く。
- VIX(恐怖指数):米株のボラティリティ期待を示す指数。高い=リスク回避、低い=安定しやすい。
- US10Y:米10年国債利回りの略称。
- モメンタム:上げ/下げの勢い。強いほどトレンド継続が意識されやすい。
- 流動性:売買が成立しやすい度合い。流動性狩り(ストップ狩り)=ストップ注文が溜まる価格帯を一時的に突く動き。

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